やがて来る「マーケティング3.0」戦国時代に向けて思うこと

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マーケティングについて

コトラーの新しい書籍「Marketing3.0」が販売されて話題になったが、企業のマーケティング活動は確実に新しい転機を迎えている。

コトラーによれば、従来のマーケティングは「2.0」であり、これからは「3.0」だという。WEB2.0からWEB3.0へ移行するように、マーケティングの世界でも、大きなパラダイムシフトが起こっていると。

さて、本論に入る前に、ここで「マーケティング」という概念を定義しておきたい。本コラムで言うマーケティングとは、簡単に一言「売れる仕組みづくり」である。消費者が欲しいと思う商品を生産し、欲しいと思うタイミングを演出し、欲しいと思うタイミングで販売する機会を用意することだ。

所謂、PUSH型営業とは対極の言葉であり、消費者サイドに「欲しい」と思わせる仕掛けをつくる行為そのもの全体を「マーケティング」と定義する。




なぜ今、3.0なのか?

では、なぜ今2.0から3.0への移行なのか?

企業のマーケティングは、前段で書いた通り、「売れる仕組みづくり」であるため、消費者の行動パターンや傾向と密接に関わってくる。つまり消費行動の大きな変化が、企業のマーケティング活動のあり方を変えているということだ。

これは、富士通総研の「不安な時代の価値観マーケティング」というコラムで分かりやすく書かれている。

コラムによれば、消費行動の変化は、「社会の変化」と「価値観の変化」によってもたらされる。
















個人的な見解だが以下のような大きな変化が生じているのではないだろうか。



社会の変化
■ インターネットの拡大に伴い人々の情報接触量が爆発的に増加したが、処理できるキャパは比例して伸びていないため、圧倒的な情報過多の状態に陥っている

■ WEBでのコミュニケーションが一般化

■ デジタルメディアの普及、存在感の拡大



価値観の変化
■ 大量の情報の中から、より信頼性の高い情報を探そうとしており、「口コミ」が信頼されている。またその中でも、友人知人や専門家の口コミに信頼を感じている

■ 個人情報の取り扱いについての意識変化
※車は最も死亡事故を起こす危険な乗り物だが、圧倒的な利便性を前に黙殺されるのと同じ理由で、WEBの圧倒的な利便性を前にすると、個人情報を提供する環境が進んでいる

■ 企業が発信する情報への信頼感の低下。簡単には信じなくなっている。




つまり、WEBの急激な発展により、個人の情報接触方法や時間、量が絶対的に大きく変化したために、価値観や消費行動レベルでの変化がリアルタイムで起こっていると考えられる。

Facebookやmixiはその象徴であり、価値観の変化の最先端にあるWEBサービスだと捉えています。しかし、まだまだ変化の途上であるとも思っています。

振り返ってみれば、検索エンジンが圧倒的な存在感を示し始めた頃より、リスティング広告が広告業界を大きく変えました。費用対効果が正確に分かる安価な広告手法として、企業の広告宣伝費の内訳が変わってきたわけです。

その流れから考えれば、現在の発展途上と考える方が正しいのではないしょうか。

今後数年間の間に、マーケティング3.0の公式のようなものが確立されていくでしょう。



最近の事例①

アメトークという番組に登場する「家電芸人」が紹介する家電は、売れていると聞いたことがありますが、これも「口コミ」の一種だと捉えられます。

TVという「マスメディア」で芸人という「有名人」が、「おススメ」の家電を熱心に紹介しているのです。売れない方がおかしい気もします。

人が発信するレコメンドの最大級のカタチではないかと思ってます。



最近の事例②

様々なブログで既に書かれていることですが、グルーポン系サービスも、社会の変化、価値観の変化をよく表しているサービスだと思ってます。

本来、グルーポン系サービス単体では、あれだけの爆発的な集客はできません。実際、昔から共同購入サービスはありましたが、共同購入者が集まらなかったりなどで広く普及はしませんでした。

しかし、Twitterやmixi、FacebookといったSNSサービスと組み合わさることで、爆発的な伝播力を持つに至り、現在の快進撃となっているわけです。

口コミが絶大なパワーを持つ時代だからこそ、成立するサービスではないでしょうか?

これは感覚ですが、バブル時代では成立していないと思ってます。



Marketing3.0の本質は何か?

時代変化の本質は、WEBの進化による「伝播力の革新」であり、この伝播力をツールに、個人は個人同士でネットワーク化することができるようになりました。これは今までになかった、全く新しいコミュニケーションの方法であり、これが消費行動に大きな影響を与えています。

これらの時代背景の中で、企業はマーケティング活動の見直しを迫られることになると思っていますが、本質は何なのでしょうか?こちらも個人的な見解ですが、次のように考えています。

「ソーシャルネットワークを通じて、消費者各個人とつながろうとすることで収益およびCRMの最大化を目指そうとする行為」

これを極大化するためのツールは、既にFacebookやmixi、Twitterと用意されており、それらのソーシャルネットワークにいかに対応するかが、企業に求められているわけです。



いかに企業は対応するべきか?

これは、いつの時代でも基本的には同じだと思いますが、「先にやった方が圧倒的に有利」だと考えています。ECサイトを早々に構築した企業が今でも好調なように(そうでもない企業も多数存在しますが)、ソーシャル・マーケティングの分野でも、早期に消費者各個人とつながりを構築することで、今まで以上に大きな先行者利益を獲得することができるでしょう。

そして、どう対応するべきか?ですが、従来のマーケティングが「キャッチボール型」だったとすれば、今後は、「玉ころがし型」になるはずです。

企業と個人とが一緒になって、商品開発やサポートなどを推し進めていく時代になるのではないでしょうか。企業の透明化は一層進み、道徳観や倫理観がない企業は、すぐに暴かれてしまう時代になるでしょう。

キーワードは、「リアルタイム性」「正義感・倫理観」「参加の仕組み」です。いかにそこを確保するかが、当面の課題になるでしょう。

統制不可能なコミュニケーションの中で、真摯に消費者と対峙し続けられる企業こそが、マーケティングROIを極大化できる企業となるでしょう。



新たな戦国時代のはじまり

今はまだ、Marketing3.0への移行が始まったばかりであり、様々な企業がチャレンジを繰り返しながら、法則を掴んでいく時代です。すべての企業、個人にチャンスが開かれた数年間です。

そのプラットフォームとなるFacebookには、やはり莫大な収益が流れるでしょうが、企業側からすれば、いかに活用して消費者とのエンゲージメントを高められるかを、ライバルと争う「消費者獲得戦国時代」です。

戦わない者は敗れます。

私もそうですが、積極的に新しいことにチャレンジしていきたいものです。

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